暑熱ストレス, 生産成績への悪影響

暑熱ストレスによる
生産成績の低下量

暑熱ストレスは、ルーメン機能に悪影響を与えるとともに飼料摂取量を減少させることが知られています。 これは牛に供給されるエネルギー量の減少につながり、乳量や乳成分、増体成績などの生産成績を低下させます。

生産成績の低下量は、暑熱ストレスの強さと暴露時間に左右されます。 ラレマンドアニマルニュートリションは、世界中の様々な農場の温湿度を測定し、それを複数の科学論文(乳牛では7報)と照らし合わせることで、生産成績の損失量を推定しました。乳牛における暑熱ストレスの閾値は、一般的にはTHI(温湿度指数)で68とされています(Burgos and Collier 2013)。しかし北部ヨーロッパの実農場での試験では、THI62の時点で暑熱ストレスによる乳牛の生産成績の低下が観察されています(Hammani et al., 2013)。

世界の状況を見る

気温 (째C 째F)
& 湿度 (%)

17.2°C

21.7°C

50%

22.7°C

25°C

50%

25.6°C

30.6°C

50%

より上

31.1°C

50%

温湿度指数(THI)

< 62

暑熱ストレスなし

62-67

暑熱ストレスの恐れ

68-72

穏やか~厳しい暑熱ストレス

73-79

穏やかな暑熱ストレス

> 80

厳しい暑熱ストレス

62

72

79

80

暑熱ストレスによる
生産成績の低下量

乳量

-1.0 ~ -2.1 kg/日

乳脂肪 (%)

-

乳たんぱく質 (%)

-

乳量

-3.0 ~ -5.5 kg/日

乳脂肪 (%)

-0.1

乳たんぱく質 (%)

-

乳量

-4.9 ~ -7.8 kg/日

乳脂肪 (%)

-0.3

乳たんぱく質 (%)

-0.2

乳量

-6.6 ~ -9.8 kg/日

乳脂肪 (%)

-0.5

乳たんぱく質 (%)

-0.4

気温 (째C 째F)
& 湿度 (%)

より下

25°C

50%

25.6°C

28.9°C

50%

29.4°C

32.8°C

50%

より上

32.8°C

50%

温湿度指数(THI)

< 72

暑熱ストレスなし

73-77

穏やか~厳しい暑熱ストレス

78-82

穏やかな暑熱ストレス

> 82

厳しい暑熱ストレス

62

77

82

100

暑熱ストレスによる生産成績の低下量

日増体量

-60 ~ -90 g/日

日増体量

-120 ~ -160 g/日

日増体量

-130 ~ -170 g/日

日増体量

- 220 ~ -250 g/日

気温 (째C 째F)
& 湿度 (%)

より下

23.3°C

50%

24.4°C

25.6°C

50%

26.1°C

28.9°C

50%

より上

28.9°C

50%

温湿度指数(THI)

< 70

暑熱ストレスなし

71-73

穏やか~厳しい暑熱ストレス

74-77

穏やかな暑熱ストレス

> 77

厳しい暑熱ストレス

62

74

77

100

暑熱ストレスによる
生産成績の低下量

乳量

-0,22 kg/日

乳用羊

-0,13 kg/日

乳用ヤギ

乳量

-0,57 kg/日

乳用羊

-0,32 kg/日

乳用ヤギ

乳量

-0,87 kg/日

乳用羊

-0,59 kg/日

乳用ヤギ

乳量

-1.19 kg/日

乳用羊

-0,92 kg/日

乳用ヤギ

世界各地における
暑熱ストレスによる
生産成績の低下

地球温暖化が進むにつれ、暑熱ストレスは反芻動物飼養における一般的な課題になってきています。牛の暑熱ストレスは、熱帯地域や夏の2カ月間に限定されるものではありません。牛は暑熱ストレスを緩和するために、自然と自身の行動を変化させます。この変化は、消化の混乱や炎症の増加、生産成績と健康への悪影響につながることがあります。

温湿度から推察される、暑熱ストレスによる生産成績の低下量を見てみましょう!世界地図の場所と畜種を選択してください。

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暑熱ストレスの目に見える兆候に気づいていますか?

ルーメン機能の低下の兆候:

  • 横臥および反芻時間が減少します。
  • 呼吸速度と唾液流出が増加します。
  • 採食頻度の低下と、ドカ食い(1回あたりの飼料摂取量の増加)が見られます。
  • 糞の色と固さの変化:糞中に未消化の穀物や綿実などが見られる場合、それはルーメン機能が不適切であるサインです。大切な(そして費用の高い)栄養素を、動物が十分り消化できていないことを示しています。
  • 跛行は、ルーメン機能の低下や亜急性ルーメンアシドーシス(SARA) の兆候を示している可能性があります。暑熱ストレスはルーメン発酵の停滞と機能の低下を引き起こし、牛の行動に悪影 響を及ぼす可能性があります。その結果歩様スコアがさらに悪化し、跛行の発生が多くなります。

暑熱によるルーメン機能の低下と酸化ストレスの増加が引き起こす、長期的な悪影響:

  • 動物の健康、免疫防御、繁殖成績に負の影響が見られます。
  • 肉質に悪影響が見られます。