繊維消化の低下
繊維分解用語集View all繊維分解
繊維を加水分解することです。を担う微生物は、粗飼料の消化を最大化する上で必要不可欠な存在です。
反芻動物は植物組織からエネルギーを得るために、ルーメン発酵に依存しています。15参考文献View allOba M. and Allen M. S. 1999.
しかしルーメン微生物は、植物細胞を構成する全ての成分を利用できるわけではなく、ルーメン内での飼料の消化率用語集View all消化率
消化吸収される飼料の割合のことです。摂取した成分量と糞中排出量の差から算出され、%で表示されます。には違いがあります。このような背景から、動物の生産性を向上させるために、粗飼料の一部を易発酵性炭水化物用語集View all易発酵性炭水化物
消化管内で発酵しやすい糖類のことです。短鎖の糖で構成され、細菌によって容易に分解されます。消化管のトラブルの原因となる場合があります。に置き換えることが増えてきています。しかし一方で飼料中の易発酵性炭水化物比率の増加は、ルーメンでの繊維消化率を低下させることが知られています。16参考文献View allMoorby J. M., Dewhurst R. J., Evans R. T., and Danelon J. L. 2006.
加えて主要な繊維分解用語集View all繊維分解
繊維を加水分解することです。細菌種であるFibrobacter succinogenesやRuminococcus albus、R. flavefaciens、及び繊維分解性の真菌は、特にルーメンpH5.8を下回る酸性条件に弱いことが知られています。
生産者にとっては、摂取量と利用率のバランスに優れた消化率の高い飼料を給与し、最終的に飼料から乳や肉、毛への変換効率を最大化することが目標となります。
各繊維成分の、ルーメン内の消化率用語集View all消化率
消化吸収される飼料の割合のことです。摂取した成分量と糞中排出量の差から算出され、%で表示されます。の違い
ルーメンpHと繊維分解用語集View all繊維分解
繊維を加水分解することです。の関係
指標とリスクの特徴 | 主要因 |
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動物の生産成績 | - 肉牛において日増体量と飼料効率が低下するのは、ルーメン発酵の停滞に原因がある可能性があります。 - 泌乳牛において乳量と乳脂肪、乳脂肪/乳タンパク質比率が低下するのは、ルーメン発酵の停滞に原因がある可能性があります。17参考文献View allBritt J. S., Thomas R. C., Speer N. C., and Hall M. B. 2003. 18参考文献View allAllen M. S. 1997. 19参考文献View allSauvant D. and Peyraud J. L. 2010. |
下痢 & 未消化穀物 | ルーメン効率が悪く、加工済みの穀物が糞中に未消化の状態で見られる時には、飼料のバランスが悪いか飼料の消化率が低いために、飼料の通過速度が速くなっている可能性があります。20参考文献View allHall M. B. 2002. |
ボディコンディション | 痩せている牛は飼料の消化率が低く飼料摂取量が低下しており、ルーメン効率が低いと考えられます。22参考文献View allZaaijer D. and Noordhuizen J. P. T. M. 2003. 23参考文献View allHeinrichs A. J. 24参考文献View allButler W.R. and Smith R. D. 1989. |
暑熱ストレス | 暑熱ストレス (気温と湿度)が増加すると、下に記載する理由から、アシドーシスと飼料消化率低下のリスクが高まります。 > 採食行動に負の影響が見られます: 明け方や夕方の涼しい時間に採食することを好みます。 > 乾物摂取量が低下します: 牛は易発酵性炭水化物を選び食いし、粗飼料の摂取割合を低下させます。 >口を開けた呼吸や流涎による唾液のロスにより、ルーメンに流入するバッファーの量を減少させます。31参考文献View allBurgos Zimbelman Rosemarie and Collier Robert J. 2011. |