ルーメン発酵
反芻動物は、飼料のエネルギー変換に優れた消化システムを発達させました。
ルーメン発酵は、摂取した飼料を宿主のエネルギー源に変換するプロセスです。摂取した飼料はまず口腔内で咀嚼され、ルーメンへと運ばれます。その後ルーメン壁への繊維の摩擦が刺激となってルーメンの連続した収縮が始まり、反芻が起こります。飼料は口腔内に吐き戻され、通常1回の反芻で50~70回の咀嚼を受け物理的に破壊されます。
ルーメン微生物は発酵によって、飼料と水を揮発性脂肪酸 (VFA用語集View allVFA
揮発性脂肪酸 (Volatile Fatty Acid)のことを指します。ルーメン内の炭水化物は、微生物によってVFAに変換されます。VFAはルーメン壁から血中に吸収され、動物のエネルギー源として用いられます。最も主要なVFAは、酢酸、酪酸、プロピオン酸の3種類です。) とガス (メタンと二酸化炭素)に変換します。飼料中の易発酵性炭水化物用語集View all易発酵性炭水化物
消化管内で発酵しやすい糖類のことです。短鎖の糖で構成され、細菌によって容易に分解されます。消化管のトラブルの原因となる場合があります。は細菌によって素早く分解され、VFAと乳酸の量を増加させます。12参考文献View allNocek J. E. 1997.
繊維分解用語集View all繊維分解
繊維を加水分解することです。菌の増殖と活性を維持するためには、ルーメンpHを5.8より高く保つことが重要となり、繊維消化率用語集View all消化率
消化吸収される飼料の割合のことです。摂取した成分量と糞中排出量の差から算出され、%で表示されます。の低下やそれに続く問題の発生を予防します。13参考文献View allZebeli Q., Metzler-Zebeli BU. 2012.
特に乳酸を産生する細菌を抑制して酸の蓄積を抑える対策は、繊維消化率を適正化する一助となり得ます。14参考文献View allChaucheyras-Durand F., Chevaux E., Martin C., and Forano E. 2012.
頻繁に管理や飼料構成を変更するとルーメン微生物のバランスも変化し、結果として最終発酵産物も変わります。
ルーメン発酵経路