ルーメン微生物
ルーメン内には、細菌、プロトゾア、真菌などが生息し、マイクロバイオータ用語集View allマイクロバイオータ
マイクロバイオータは、特定環境に生息する微生物生態系全体(細菌、酵母、真菌、ウイルス)を指します。腸内マイクロバイオータは、かつて腸内フローラとも呼ばれていました。と呼ばれる多様性のあるコミュニティを作っています 2参考文献View allChaucheyras-Durand F., Ossa F.
10参考文献View allMcSweeney C.S., and Mackie R.I. 2012.
11参考文献View allMorgavi D.P., Kelly W.J., Janssen P.H., and Atwood G.T. 2012.
。
細菌
ルーメン細菌はルーメン液1mL中に1010個存在し、今日までに数百種に分類されています。細菌量は総微生物バイオマス量の最大50%に相当し、反芻動物の代謝タンパク質用語集View all代謝タンパク質
Metabolizable protein(MP)のことを指します。ルーメンバイパスタンパク質と微生物タンパク質の合計であり、小腸で吸収されるアミノ酸とタンパク質の総量を示します。代謝タンパク質は乳生産や免疫機能、繁殖などの複数の代謝過程で、動物に利用されます。の75~80%を供給する重要な微生物タンパク質源です。細菌は繊維(セルロース用語集View allセルロース
植物の細胞壁に含まれている、主要な炭水化物です。反芻動物はセルロースを消化することができますが、それは繊維分解性の微生物が産生する酵素の働きによるものです。やヘミセルロース用語集View allヘミセルロース
植物の細胞壁に含まれる炭水化物の1種のことです。セルロースよりは分解されやすく、ヘミセルロース分解用語集View allセルロース分解
セルロースを加水分解することです。酵素によって比較的容易に単糖に分解されます。)やでんぷん、糖を消化する酵素を産生する点においても重要です。
プロトゾア
繊毛を持つプロトゾア(繊毛虫)は、ルーメン液1mL中に106 個存在しています。細菌よりも大きいため、微生物バイオマスとしては最大50%を占めています。プロトゾアの持つ多岐に渡る働きを紹介します。
- セルロースGlossaryView allセルロース用語集View allセルロース
植物の細胞壁に含まれている、主要な炭水化物です。反芻動物はセルロースを消化することができますが、それは繊維分解性の微生物が産生する酵素の働きによるものです。
植物の細胞壁に含まれている、主要な炭水化物です。反芻動物はセルロースを消化することができますが、それは繊維分解用語集View all繊維分解
繊維を加水分解することです。性の微生物が産生する酵素の働きによるものです。及びヘミセルロースGlossaryView allヘミセルロース用語集View allヘミセルロース
植物の細胞壁に含まれる炭水化物の1種のことです。セルロースよりは分解されやすく、ヘミセルロース分解用語集View allセルロース分解
セルロースを加水分解することです。酵素によって比較的容易に単糖に分解されます。
植物の細胞壁に含まれる炭水化物の1種のことです。セルロースよりは分解されやすく、ヘミセルロース分解GlossaryView allセルロース分解
セルロースを加水分解することです。酵素によって比較的容易に単糖に分解されます。分解性のプロトゾアは、繊維片を分解します - 細菌よりも時間を掛けてでんぷんを分解するという点で、好ましいプロトゾアも存在します。
- 乳酸を消費し、アシドーシスのリスクを抑えるプロトゾアも存在します。
- 一部のプロトゾアは酸素を利用することが出来、嫌気性GlossaryView all嫌気性用語集View all嫌気性
酸素の存在しない環境状態のことです。
酸素の存在しない環境状態のことです。を保つ働きを担います。
しかし大部分のプロトゾアはタンパク質を素早く分解し、アンモニアを放出します。それゆえプロトゾアは飼料タンパク質を浪費すると言えます。プロトゾアは宿主が利用できる微生物タンパク質の25%程度を供給します。また繊毛虫は、メタン古細菌の基質となる水素を多く産生します。繊毛虫は他のルーメン微生物にとっては捕食者であり、1時間でプロトゾア1細胞あたり、実に数千の細菌を飲み込みます。このような働きから、プロトゾアはルーメン微生物の生態系の安定に重要と言えます。
真菌
ルーメン真菌は偏性嫌気性GlossaryView all嫌気性用語集View all嫌気性
酸素の存在しない環境状態のことです。
酸素の存在しない環境状態のことです。であり、総微生物バイオマスの最大8-10%を占めています。真菌は酵素を産生するとともに植物組織に糸状の仮根GlossaryView all仮根用語集View all仮根
真菌が基質に付着するために伸ばす、糸状構造のことです。
真菌が基質に付着するために伸ばす、糸状構造のことです。を伸ばすため、繊維分解GlossaryView all繊維分解用語集View all繊維分解
繊維を加水分解することです。
繊維を加水分解することです。において重要な微生物です。植物細胞壁を物理的に破壊することによって、リグニンGlossaryView allリグニン用語集View allリグニン
植物細胞壁に含まれる、複雑な構造をした有機ポリマーです。加水分解されにくい性質を持っていますが、真菌の仮根により物理的に破壊することが出来ます。
植物細胞壁に含まれる、複雑な構造をした有機ポリマーです。加水分解されにくい性質を持っていますが、真菌の仮根により物理的に破壊することが出来ます。と結合している多糖GlossaryView all多糖用語集View all多糖
単糖分子が多数重合した物質のことです。
単糖分子が多数重合した物質のことです。類が放出されやすくなり、微生物はより分解しやすい組織を利用できるようになります。結果としてルーメン微生物が消化できるエネルギー量が増加します。