ルーメンの 健康
テクニカルガイド

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ルーメンの発達


固形飼料の消化のためには、 成熟した微生物の生態系が必要です。

出生直後の反芻動物のルーメン内は無菌環境であり、細菌やその他の微生物は存在しないと考えられています。新生反芻動物は母親の産道や膣、唾液、肌、糞などに存在する様々な微生物に曝されることによって、自然とルーメン内に微生物が定着していきます。

  • 生後数時間のうちに嫌気性用語集すべて表示嫌気性
    酸素の存在しない環境状態のことです。
    細菌が現れます。
  • 2~4日齢時に繊維分解用語集すべて表示繊維分解
    繊維を加水分解することです。
    細菌とメタン古細菌が現れます。
  • 2週齢時に嫌気性の真菌がルーメンに定着します。
  • 絨毛を持つプロトゾアは、3週齢時にようやく定着し始めます。

 

反芻獣における、ルーメン微生物の定着の流れ(子羊モデル)
1参考文献すべて表示Fonty G., Senaud J. , Jouany J.P. , and Gouet P. 1987.
 2参考文献すべて表示Chaucheyras-Durand F., Ossa F.
 3参考文献すべて表示Jami E., Israel A., Kotser A., and Mizrahi I. 2013.
 4参考文献すべて表示Li R.W., Connor E.E., Li C., Vi Baldwin R.L. and Sparks M.E. 2012.
 5参考文献すべて表示Minato H., Otsuka M., Shirasaka S., Itabashi H., Mitsumori M. 1992.
 6参考文献すべて表示Rey M., Enjalbert F., Combes S., Cauquil L., Bouchez O., and Monteils V. 2014.
 7参考文献すべて表示Malmuthuge N., Griebel P.J., and Le L. Guan. 2014.
 8参考文献すべて表示Steele M. A., Malmuthuge N. and Guan L. L. 2015.

新生反芻動物にとって早期の母子分離はストレスであり、免疫の抑制やルーメンの発達遅延が起こる可能性があります。微生物の定着が不完全である時期にミルクから固形飼料に移行させる場合 3参考文献すべて表示Jami E., Israel A., Kotser A., and Mizrahi I. 2013.
 
、消化不良が起こる新生反芻動物も散見されます。

ルーメン内の微生物群集の多様性は、大部分を飼料構成に依存しています。 9参考文献すべて表示Fonty G., Gouet P., Jouany J.P., and Senaud J. 1983.
 
そしてルーメンの発達(重量、ルーメン壁の厚さ、絨毛の密度や健全性、長さ)は、そのマイクロバイオータ用語集すべて表示マイクロバイオータ
マイクロバイオータは、特定環境に生息する生態系全体(細菌、酵母、真菌、ウイルス)を指します。腸内マイクロバイオータは、かつて腸内フローラとも呼ばれていました。
の複雑さに高く影響を受けます。

また穀物飼料の給与は、ルーメン絨毛の発達を促す酪酸を増加させることが知られています。

固形飼料の消化のためには、成熟した微生物の生態系が必要です。
適切な動物の増体と成績を考える上で、重要となる点を列挙します。

  • 微生物の早い定着
  • 豊富で機能的なマイクロバイオータの発達
  • 飼料摂取量の増加と消化率用語集すべて表示消化率
    消化吸収される飼料の割合のことです。摂取した成分量と糞中排出量の差から算出され、%で表示されます。
    の向上を促進
  • ルーメン壁からの栄養吸収を最大化
Immature rumen wall with poorly developed papillae
絨毛の発達が悪い、未熟なルーメン壁
Mature rumen wall with well-developed papillae
良く発達した絨毛を持つ、成熟したルーメン壁